歯科用アマルガム

「水銀の含まれている銀歯(アマルガム)があるか調べてほしい」という相談を受けることがあります。

当医院では、既に詰めてある過去のアマルガムは基本的に人体に害を及ぼすものではなく、問題が無ければ積極的に外す必要はない考えです。
危機感をあおって治療のネタにする気もありません。

現在、日本ではアマルガム治療を行える歯科医院はごく僅かで、ほとんど行っていないといえます。
私自身も学生時代の実習でやったかなという程度です。
実はアマルガムの歯科的な理工学特性はとても優れていて、アマルガム同等の特性を持ち、水銀を使わず、歯と同じ色の材料が開発されないかなと思うくらいです。

●歯科用アマルガムとは
歯の詰め物の「アマルガム」は水銀と金属の粉末を混ぜた、軟らかい状態の物を穴に直接詰めます(セメントや接着剤は使いません)。
3~5分程度で非常に硬くなって、強い噛み合わせに耐えられるようになります。
固まる際に僅かに膨張するので、最小限の穴に詰めても外れにくく、金属の抗菌作用で虫歯の進行も抑えられます。
歯科の治療では150年ほどの歴史を持ち、耐久性・操作性に富んだ信頼される材料の一つです。
また、安価で比較的容易に使用できることから、発展途上国や国費による健康保険制度が充実していない国では依然使われています。
日本では現在アマルガム治療はほとんど行われていませんし、2016年の保険改定でアマルガムは保険給付外となりました。
これはアマルガムが危険ということではなく、アマルガムの廃絶に向けて取り組むという日本の歯科界の基本的な姿勢であり、人体に有害であるということではありません。
水銀そのものを地球規模で廃絶しようということです。

●歯科用アマルガムに使われる水銀
水俣病で原因となった水銀は、工場排水に含まれた有機水銀(メチル水銀)です。
アマルガムで使用される(合金粉末と混ざっている)水銀は無機(金属)としての水銀で、特にほかの金属と混ざりあった状態では極めて安定しています。
この水銀と金属の粉末を混ぜ合わせると、科学的に極めて安定したものとなり、水銀が溶けだすということはありません。

●口の中のアマルガムはすべて外すべきか
現在、何の支障のなく使用されているのであれば、除去するほうがリスクが大きいといえます。
口の中で安定している状態のアマルガムを削って外す際に水銀が蒸気化し、これを吸い込む可能性があります。
勿論、削る時は水で冷却しながらですので、気化は最低限かつ吸引機で吸いますので問題とはならないと思いますが、リスクとしては存在します。
さらに、できるだけアマルガムを一塊として取り出すため、健康な歯の一部を削ることになりますので、この点でも何ら問題の無い歯のアマルガムを外すことはかえって健康を害することになるのかもしれません。

●歯のアマルガムが黒くなっている
アマルガム合金の主成分は銀です。酸化により黒くなるだけで、溶けているわけではありません。
インレーという、型を取って詰める銀歯にも銀が主成分のものがありますが、これも黒くなります。
純銀のスプーンが黒くなるのと同じことです。

●アマルガムと金属アレルギー
金属アレルギーの原因がアマルガムという可能性は否定できません。
アマルガムであるからということではなく、被せ物や詰め物、入れ歯など歯科で使われる金属のいずれもが金属アレルギーの原因になる可能性があるからです。
もちろん、ピアスやネックレスなどの装飾品の金属、意外なとこでは革製品に使われるクロムも金属アレルギーの原因になる可能性があります。

●歯のアマルガムが無くなった。多分飲み込んだが大丈夫か
飲み込んでしまっても、便とともに自然排出されます。また、その間水銀が分解されて体内に影響を及ぼすことは考えられません。
もし、喉に詰まった違和感や、せき込む等があれば気道に誤って入った可能性がありますので、医師による検査が必要になります。

参考文献;「歯科用アマルガムの使用に関する見解」日本歯科医師会

 

2017年2月23日 | カテゴリー : 治療 | 投稿者 : yorioka